【観光スポット】「旧台南地方院と東京駅」外観の似た2つの建物

台南

 今回は明治期に完成した日本と台湾のよく似た外観の建物です。日本は「東京駅」で、台湾は台南の「國定古蹟臺南地方法院」という建物です。東京駅を見て心惹かれる方は台南に行った際には、ぜひ見て欲しい建物です。共通点もありますので、詳細をご紹介していきたいと思います。

 まずは両建物の比較写真からです。

上:臺南地方法院/下:東京駅

台南地方院は入口部、東京駅は南ドーム部です。よく似ていますね。
それでは詳細をご紹介していきます。まずは東京駅と台南地方院の基本情報からです。

東京駅と國定古蹟臺南地方法院の基本情報

東京駅

住所:東京都千代田区丸の内1丁目

ホームページ:http://www.tokyostationcity.com/learning/

東京駅の歴史と復元資料:https://duct.cpami.gov.tw/sino-jp/file/31/14-1.pdf
(第31回台日工程技術検討会資料より)

設計者:辰野金吾

完成:1914年

歴史:

1908年(明治41年) 中央停車場(現東京駅)の駅舎建設工事着手
1914年(大正 3年) 東京駅と改称。営業開始
1915年(大正 4年) 東京ステーションホテル開業
1945年(昭和20年) 戦争の空襲で屋根塔が消失
1947年(昭和22年) 消失前の3階建の駅舎が2階建の駅舎として修復
2003年(平成15年) 国指定重要文化財となる
2012年(平成24年)  駅舎が創建当時の姿に復元
 *3階部分は復元です。

地図:

グーグルストリートビュー:

國定古蹟臺南地方法院

住所:台南市中西區府前路一段307號

ホームページ:https://tnd.judicial.gov.tw/hs/

設計者:森山松之助

完成:1912年

歴史:

1896年 台湾総督府法院条例公布
1898年 二級二審制施行
1912年 新庁舎落成(現國定古蹟台南地方院)
1945年 台湾台南地方院へ改称
1991年 国家二級古蹟
2005年 國定古蹟
2016年 修復完了、一般公開

地図:

グーグルストリートビュー:

両建築物の設計者について

 設計者についてですが東京駅は建築界では有名な設計者「辰野金吾」、國定古蹟臺南地方法院は「森山松之助」です。このふたりには共通点があります。森山松之助は東京帝国大学工科大学建築学科で辰野金吾のもとで学んでいるのです。建築の基礎となる部分は辰野金吾の影響を受けているのかもしれません。そして森山松之助が携わった建築物が台湾に多く残っれおり雰囲気の似た建物も多いので、それぞれの建築物を見比べてみるのも面白いと思います。
 次に辰野金吾と森山松之助の経歴を紹介していきたいと思います。

東京駅の設計者「辰野金吾」について

 辰野金吾(1854年ー1919年)は現在の佐賀県唐津市生まれ、工学学校(現在の東京大学工学部)卒。日本で最初の建築家といわれるほど、影響を残しており、辰野式と呼ばれる建築物が多く残っています。東京駅が一番有名ですが、他に日本銀行本店の設計にも携わっています。(建物を上から見ると「円」という形になっている建造物です)。1919年にスペイン風邪の影響でこの世を去っています。享年64歳。

臺南地方法院の設計者「森山松之助」について

 森山松之助(1869年ー1949年)は大阪生まれ、東京帝国大学(現在の東京大学)工科大学建築学科卒業。東京帝大在学中に辰野金吾の元で学んでいます。1906年に台湾に渡り、1921年まで台湾で多くの建築物に携わっています。台湾での主な建築物は、台湾総督府(現:台湾総統府)、総督官邸(現:台北賓館)、専売局(現:台湾菸酒公司本社)、台中州庁(現:台中市政府)、台南州庁(現:国立台湾文学館)等数多くの建築物が存在しており、現在でも見ることが出来ます。
 主な建築物の記事は以下のブログ記事リンクでまとめてありますので、見てください。

國定古蹟臺南地方法院

台湾総督府(現:台湾総統府)

https://satsumabird551.blog.fc2.com/blog-entry-17.html

専売局(現:台湾菸酒公司本社)

https://satsumabird551.blog.fc2.com/blog-entry-646.html

台中州庁(現:台中市政府)

台南州庁(現:国立台湾文学館)

東京駅と國定古蹟臺南地方法院の外観比較

 まずはドーム型建物の入り口から見ていきましょう。臺南地方法院は正面メイン入り口部、東京駅は南ドーム部入り口です。

 ドーム部の形状は臺南地方法院は縦に細長く、東京駅は横に長い形になっています。横から見ると丸になっているように見えますが、両建物ともドーム部は八つに分かれていて、上空から見ると八角形なっています。他の共通点は八つに分かれたドーム部に丸いドーマー(窓)と屋根の頂点のフィニアル(頂華)が非常に似ています。ドームの下には窓がありますが、後ほど内に入りドーム部下行くとわかりますが、外光を内部に取り込まれる効果があります。

臺南地方法院
東京駅
東京駅

次に建物内部ドーム部下です。台南地方院は少し狭めで、大きな柱でドーム部の天井が支えられています。円柱の柱の上部に装飾が施されています。白色が光に反射して際立っています。

臺南地方法院

東京駅の方はドームの形が大き目ということもあり、開放感がかなりあります。ドームの形に添って細目の柱が8本あります。こちらは人が行き交う場所ということもあり、広い空間になっています。

東京駅

ドーム部の天井ですが台南地方院は四角の縁にドーム方向に円形の格子状になっています。非常にシンプルな造りですが、4隅に装飾が施されています。ドーム部の外光がわずかながら取り入れられています。

臺南地方法院

こちらは東京駅です。八角形をベースになっています。真ん中に菊の紋章、そして8つの鷲が装飾されています。色使いも台南地方院の白一色と比較し、コントトラストがあります。外光もふんだんに取り入れられており、明るさと白色が際立っています。

東京駅

次に遠くから建物全体を見てみましょう。両建物とも外壁は赤いレンガと白の紅白の外観になっています。この時期の建物の特徴なのかもしれませんが、円柱の柱が多用されています。そして建物自体に奥行きはなく、横に長い造りとなっています。中華民国総統府もそうなのですが、この時代に多い形ですね。屋根は台南地方院はマサード屋根、東京駅は切妻屋根で、うろこ形瓦となっています。こちらにも屋根部にもドーマーがありますが、地方院は丸窓、東京駅は、形状の異なった窓になっています。

臺南地方法院
東京駅

最後に台南地方院の入り口部と東京駅正面入り口部を見ていきましょう。

まずは台南地方院の正面入り口です、ドーム形状と大きな柱が非常に特徴的です。

臺南地方法院

建物正面に近づいて見ると、柱が非常に大きのがわかります。圧倒される感じです。バロック様式の特徴である柱の上部にも装飾が施されています。

臺南地方法院

外から見るとかなり入り口が大きいような印象がありましたが、実際の入り口は狭めになっています。入口の上部、周りにも装飾が施されています。

臺南地方法院

こちらは西側の入り口です。メインの入り口と比較すると装飾がなく非常にシンプルな造りとなっています。ただ実際に近くで見てみると非常に壮大な雰囲気があります。

臺南地方法院

次に東京駅の正面入り口です。ちょうど正面の通りは、皇居につながる道路となっています。

東京駅

東京駅全体が左右対称のシンメトリックとなっており、正面入り口の形も同様です。台南地方院と比較すると、大きな柱の印象は少ないですね。地方院は1階建てで、東京駅は3階建てということもあるのでしょうか?

東京駅
東京駅

どうでしたでしょうか?建築物は建設された当時、最高の工法(技術)、デザイン、そしてその土地にあった耐久性を持たせたものです。ある意味、芸術品ですね。ぜひ、日本の明治期の建築物と台湾のものと比較して見学してみると、新たな発見がありますよ。

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Posted by けんいち